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【IMCX Vol.1】活動の生命線!なぜ連絡手段の「整理整頓」が必要なのか?

連載企画「IMCX」のアイキャッチ画像

~LINE、Discord、Teams。3つのツールが抱える「情報のサイロ化」問題と最適解~

こんにちは!情報班の運営に関する課題を技術的側面から掘り下げる連載企画「IMCX」をスタートします。記念すべき第1回は、私たちの活動で一番大切なテーマ、コミュニケーションツールの「交通整理」について掘り下げてみたいと思います。

情報班の活動は、プログラミングや電子工作といった「技術」が核ですが、その技術を支えるのは、メンバー間のスムーズな「コミュニケーション」に他なりません。どれだけ素晴らしいアイデアがあっても、連絡が届かなければプロジェクトは動きませんよね。

今回は、私たちが日々直面している「情報の分散」という課題を深掘りし、情報班にとって最適な運用方法を考察します。

1. 情報班における「3つの顔」と多重運用の現実

現在、情報班では、メンバーの多様なニーズに応えるため、主に3種類のコミュニケーションツールを使い分けています。それぞれにメリットがあるからこそ、やめるにやめられないのが現状です。

ツール名ユーザー層と利用目的メリット(手放せない理由)
LINE全員(特に新入生)圧倒的な浸透率、緊急連絡の即時性、気軽さ
Discordゲーマー、プログラミング学習者画面共有によるオンライン指導、同期性のある音声会議
Teams全員(学校アカウント)公式情報共有、高いセキュリティ、ファイル管理

この3つを併用する中で、連絡担当である総務ユニットが最も頭を悩ませるのが「情報のサイロ化」という問題です。これは、情報がそれぞれのツールという「サイロ(貯蔵庫)」に閉じ込められてしまい、全体として機能しなくなる現象を指します。

2. 多重運用が引き起こす具体的な「3つの痛み」

この情報分散は、活動効率を大きく低下させる「3つの痛み」となって現れています。

痛み1:連絡の手間と「見落としリスク」の増大

「誰がどのツールを見ているか?」が班員によってバラバラなため、重要な連絡事項(例:機材搬入日の変更)は、すべてのツール(LINE、Discord、Teams)に流さざるを得ません。この手間は総務の負担になるだけでなく、班員側も「あっちの通知を見たから大丈夫だろう」と油断し、見落としが発生するリスクが高まります。

痛み2:ファイルの所在不明と「探す時間」の浪費

プロジェクトを進める中で作成されたファイル(企画書、コードの断片、実験データ)が、ツールに紐づいてバラバラに保存されます。

  • LINE:急ぎで共有した写真やPDF
  • Discord:プログラミングのログやスクリーンショット
  • Teams:最終版の公式な企画書

結果として、「あのファイル、どこにあったっけ?」と探す時間が増え、貴重な活動時間を浪費してしまいます。

痛み3:顧問との情報格差による「調整の齟齬」

多くの部活動では、プライベート性の高いLINEグループに顧問の先生は入っていません。このため、生徒間では既に決まっている事項が、顧問にはTeamsを通さないと伝わらない、という情報のタイムラグが生じます。この格差が、活動の許可や予算申請の段階で、予期せぬ調整の遅れや、生徒と顧問間での認識のズレ(齟齬)を生み出してしまうのです。

3. 解決戦略:統合ではなく「ハブ&スポーク」モデルの確立

一時期、私たちはすべての連絡を「Slack」のような多機能な一つのツールに統合することを検討しました。しかし、新しいツールを導入することは、新たな学習コストと、既にある3つのツールの文化を捨てるという大きな心理的抵抗を伴います。

そこで私たちは、既存のツールの「強み」を活かしつつ、情報の混乱をなくす「ハブ&スポーク」モデルを採用することにしました。

このモデルでは、特定のツールを「情報の中心(ハブ)」に定め、それ以外のツールを「活動の拠点(スポーク)」として、機能に特化させて運用します。

新しい役割分担のポリシー

役割ツール名利用目的(特化させる機能)運用ルール
ハブ(中心)Teamsすべての公式連絡、永続的なファイル管理、顧問との共有情報の最終決定版はTeamsにのみ置く。ファイル共有は原則Teams以外で行わない。
スポーク1Discordプログラミングのオンライン指導、リアルタイムな技術的な壁打ち、同期性会議同期性(リアルタイム性)を重視した活動に限定。非公式な技術検証ログはOK。
スポーク2LINE緊急連絡、メンバー間のプライベートな交流部活動に関する公式連絡は基本的に行わない。プライベートな利用に限定する。

4. Teamsを「情報のハブ」とする理由

この戦略で最も重要なのが、学校アカウントで提供されるTeamsをハブ(中心)に据えたことです。

  1. 情報の永続性と引継ぎの容易さ: Teamsは学校アカウントと紐づいているため、卒業生が抜けても情報が消えることがありません。新入部員が加入した際も、Teamsのチームに参加するだけで過去の連絡やファイルにすぐにアクセスできるため、オンボーディング(新入部員受け入れ)が劇的にスムーズになります。
  2. 顧問との連携保証: Teamsが「公式な情報源」となることで、顧問の先生も必ずその情報にアクセスすることになります。これにより、前述した顧問との「情報の齟齬」が根本的に解消されます。
  3. セキュリティと安心感: 学校が管理するセキュリティポリシーの下で運営されるため、重要なデータや個人情報について、班員が安心して共有できる基盤となります。

5. むすびに:情報の透明性を持つチームへ

私たちは、「基本的にはTeamsに集約し、リアルタイム性が求められる活動に限定してDiscordを使い、LINEは基本的に使わない」という結論に至りました。

この明確なルールを設定することで、班員一人ひとりが「この情報を見たいときは、ここに行けばいい」という安心感を持つことができます。これは、技術的な知識だけでなく、活動全体の「情報の透明性の確保」と「心理的安全性の向上」にも繋がります。

もちろん、この提言が部活動の最終解ではありません。ツールのトレンドや部員の構成は常に変わります。私たちは、この運用を基盤としつつも、活動のたびに「このやり方で本当に効率的か?」と自問自答し、改善を続ける「情報の哲学」を持ったチームでありたいと考えています。

IMCX連載、第1回は以上となります。次回も、情報班の活動を裏側から支える、技術的・組織的な課題を深掘りしていく予定です。少々ご期待ください!